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2009年12月30日 (水)

海外転勤者の自宅売却(非居住者の国内不動産譲渡)

 海外転勤で自宅マンションや一戸建て持ち家を売却して海外に住むような場合、日本に居住している間に自宅を売却できればいいのですが、海外転勤した後、つまり日本の税法上非居住者になってから売却した場合の税金はどうなるのでしょうか?

 【 事 例 】

 「マンション取得価額」  7千万円

 「償却後売却時簿価」  5千万円

 「マンション売却価額」  6千万円

・自宅は自己居住用として5年間所有
・売主は香港へ海外転勤した後3年以内に自宅売却
・買主は「会社事業用」としてマンションを使用するために購入

 売主が海外転勤した非居住者のため国際税務上は源泉徴収の問題が生じますが、非居住者に対する不動産譲渡は原則として譲渡対価の10%を買主が源泉徴収しなければなりません。(所令281条の3)。
 
 ただし、例外として次の2つの条件を”同時に”満たす場合には源泉徴収の義務はありません。

1)譲渡対価が1億円以下であること
※譲渡対価は土地・建物等の全体の金額で判定
※非居住者等が受け取る金額で判断

2)買主が自己居住又は買主の親族の居住のために購入すること


【所得税法施行令第二百八十一条の三】

(国内にある土地等の譲渡による対価)

 法第百六十一条第一号の三 (国内源泉所得)に規定する政令で定める対価は、土地等(国内にある土地若しくは土地の上に存する権利又は建物及びその附属設備若しくは構築物をいう。以下この条において同じ。)の譲渡による対価(その金額が一億円を超えるものを除く。)で、当該土地等を自己又はその親族の居住の用に供するために譲り受けた個人から支払われるものとする。

 上記事例の場合、譲渡の相手方である買主はマンションを自己居住や親族の居住のために使用せず、事業用として使用することになっていますので、譲渡対価が1億円以下という条件は満たしますが、自己居住等の条件を満たしていません。

 したがって、買主は売主に対して譲渡対価を支払う際に譲渡対価である6千万円の10%である600万円を天引きして支払う必要があります。

 なお、源泉徴収した600万円は買主の居住地を所轄する税務署に対し、譲渡対価を支払った日の属する月の翌月10日までに直接税務署又は最寄金融機関で納付することになります。納付が遅れた場合には不納付加算税10%及び延滞税が課されますので注意が必要です。

 次に、この例では売却価額6千万円と簿価5千万円の差額である1千万円について譲渡所得が生じています。この譲渡所得は売主である海外転勤した非居住者の所得となりますが、これについて「居住用財産の3000万円特別控除」を適用できるのでしょうか?

 租税特別措置法第35条は次のとおり規定しています。

(居住用財産の譲渡所得の特別控除)

個人が、その居住の用に供している家屋で政令で定めるものの譲渡、若しくは当該家屋とともにするその敷地の用に供されている土地若しくは当該土地の上に存する権利の譲渡をした場合、又は災害により滅失した(中略)・・・これらの家屋が当該個人の居住の用に供されなくなつた日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間にした場合には、当該個人がその年の前年又は前々年において既にこの項又は第36条の2、第36条の5、第41条の5若しくは第41条の5の2の規定の適用を受けている場合を除き、これらの全部の資産の譲渡に対する第31条又は第32条の規定の適用については、次に定めるところによる。

 「個人が」と規定されています。ここでいう「個人」とは居住者及び非居住者を含む個人ですから、非居住者に対しても特別控除3000万円の適用することができます。つまり、特例を受ける対象者を居住者に限るとの限定はありませんし、また譲渡不動産の所在地を限定していません(=所在地は日本に限らない)。

 したがって、3000万円特別控除を適用した後の譲渡所得はゼロとなり、源泉徴収された600万円は非居住者が翌年の3月15日までに確定申告を行うことで還付されることになります。

 なお、非居住者の居住用不動産の譲渡所得に関する確定申告は、非居住者の納税地を所轄する税務署に納税管理人の届出書を提出する必要があります。非居住者の納税地は上記の場合には非居住者となった時の直前において納税地であった場所となりますので、海外転勤する直前に居住していた場所が納税地となります。

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