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2010年1月26日 (火)

非居住者が日本の会社から受け取る役員報酬に対する課税

 Cさんは日本でコンピュータソフトウエア開発の会社経営をしていましたが、このたび上場企業に会社をM&Aし家族で海外に移住することにしました。ただ、この会社の非常勤取締役会長として5年間在籍して年に数回取締役会に出席することがM&Aの条件となっていましたので、M&Aされた自分の会社から役員報酬を毎月定額受け取ることになりました。

 この場合日本における課税はどうなるのでしょうか?

 所得税法第161条8(イ)「国内源泉所得」にて次に掲げる給与、報酬は国内源泉所得とすると規定されています。

イ 俸給、給料、賃金、歳費、賞与又はこれらの性質を有する給与その他人的役務の提供に対する報酬のうち、国内において行う勤務その他の人的役務の提供(内国法人の役員として国外において行う勤務その他の政令で定める人的役務の提供を含む。)に基因するもの

 この条項の( )書きのところで「内国法人の役員として国外において行う勤務・・・」と記載されているように、日本の会社の役員として国外で行う勤務は、その勤務地や海外移住地の場所にかかわらず、その全額が国内源泉所得とされます。

 したがってCさんの場合、海外で受け取る役員報酬は国内源泉所得として20%の源泉分離課税が適用され課税関係は終了します。

 ただし、内国法人の使用人として常時勤務を行う場合の役員報酬については国内源泉所得から除外されます(所得税法施行令第285条第1項第1号の( )書き)。

 Cさんの場合は使用人という立場で常時勤務するわけではないため例外規定には該当せず原則どおり20%の源泉分離課税が行われます。

(国内に源泉がある給与、報酬又は年金の範囲)

第285条
法第161条第8号イ(国内源泉所得)に規定する政令で定める人的役務の提供は、次に掲げる勤務その他の人的役務の提供とする。

1.内国法人の役員としての勤務で国外において行なうもの(当該役員としての勤務を行なう者が同時にその内国法人の使用人として常時勤務を行なう場合の当該役員としての勤務を除く。)

 国内法による規定は上記のとおりですが、租税条約を締結している海外の国に移住した場合には租税条約が優先適用されます。たとえば米国との租税条約において役員所得条項は次のように定められています。

【日米租税条約】

第15条
 一方の締約国の居住者が他方の締約国の居住者である法人の役員の資格で取得する役員報酬その他これに類する支払金に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。

 以下各国の租税条約の条文内容は同じになりますので省略しますが、どの国の役員所得条項も当該勤務地にかかわらず日本の会社(内国法人)から受け取る役員報酬は国内源泉所得に該当し日本で課税されることになります。

【イギリス】第15条  【フランス】第16条 【インド】第16条
【ドイツ】第16条 【シンガポール】第16条 【オランダ】第17条
【タイ】第15条 【スウェーデン】第16条 【南アフリカ】第16条
【メキシコ】第16条 【ベトナム】第16条 【インドネシア】第16条
【フィリピン】第16条 【マレイシア】第16条 【韓国】第16条
【中国】第16条

 日本の会社から受け取る役員報酬は例外規定に該当しないかぎり、世界のどこの国に居住していても日本で20%の源泉分離課税が行われますのでその点十分留意すべきと思います。

 なお、日本で課税された20%の税金は移住した国と日本との間で租税条約が締結されていれば、居住地国で外国税額控除の適用を受け二重課税を排除することができる可能性がありますので現地の専門家とよく相談してください。

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