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2010年1月18日 (月)

非居住者に支払う退職金に対する課税

 日本の会社(内国法人)に在籍するAさんは日本本社に20年勤務した後、海外支店へ転勤となりその後10年間海外勤務し、このたび海外で退職金として2100万円を受け取ることになりました。この場合の日本における課税はどうなるのでしょうか?

 Aさんは日本における非居住者として取り扱われることになります。非居住者に退職金を支払う場合には、その支払いを行う際、会社は国内勤務対応期間分の収入に対して20%の税率により源泉徴収を行う義務があります。

【源泉徴収額の計算】

2100万円 x20年(国内勤務)÷30年(在籍期間)=1400万円

1400万円 x 20% = 280万(源泉徴収額)

 源泉徴収は上記のように行われますが、非居住者であるAさんは「退職所得の選択課税」の適用を受けることにより、退職金を受領した翌年の1月1日以後に確定申告を行うことですでに納付した税額の還付手続きを受けることができます。

【退職所得についての選択課税】

所得税法 第171条

第169条(課税標準)に規定する非居住者が第161条第8号ハ(居住者として行つた勤務に基因する退職手当等)の規定に該当する退職手当等(第三十条第一項(退職所得)に規定する退職手当等をいう。以下この節において同じ。)の支払を受ける場合には、その者は、前条の規定にかかわらず、当該退職手当等について、その支払の基因となつた退職(その年中に支払を受ける当該退職手当等が二以上ある場合には、それぞれの退職手当等の支払の基因となつた退職)を事由としてその年中に支払を受ける退職手当等の総額を居住者として受けたものとみなして、これに第30条及び第89条(税率)の規定を適用するものとした場合の税額に相当する金額により所得税を課されることを選択することができる。

 税金の還付手続きを行う際に必要な税額計算は居住者と同じ方法で、退職所得控除額(勤続年数による)を退職金から差し引いた額の2分の1に対し申告分離課税により行います。

 Aさんの場合の所得税は30万円となり源泉徴収との差額250万円は還付されることになります。

【退職所得の選択課税による還付】

所得税法 第173条  

 第169条(課税標準)に規定する非居住者がその支払を受ける第171条(退職所得についての選択課税)に規定する退職手当等につき次編第5章(非居住者又は法人の所得に係る源泉徴収)の規定の適用を受ける場合において、当該退職手当等につき同条の選択をするときは、その者は、当該退職手当等に係る所得税の還付を受けるため、その年の翌年一月一日(同日前に同条に規定する退職手当等の総額が確定した場合には、その確定した日)以後に、税務署長に対し、次に掲げる事項を記載した申告書を提出することができる。

一  前条第二項第一号に掲げる退職手当等の総額及び所得税の額
二  前条第二項第二号に掲げる所得税の額
三  前号に掲げる所得税の額から第一号に掲げる所得税の額を控除した金額
四  前条第二項第四号及び第五号に掲げる事項その他財務省令で定める事項

 還付される所得税を受領する際、税務署から通知がくるため国内の連絡先や国内に還付口座が必要となりますが、そのような場合には納税管理人を選任することになります(弊社は納税管理人となり納税事務の代行を行うことができます)。

 なお、退職金にかかる住民税は他の所得に対する住民税の課税方法(前年度所得に対して課税する方法)と異なり、現年課税(現年度所得に対して課税する方法)がとられていますが、退職金を受ける年の1月1日現在、日本国内に住所を有しない場合には住民税は課税されません。

 Aさんの場合には退職金を受領した年の1月1日現在は海外に居住していますので日本国内に住所を有しないことになり住民税は課税されないことになります。

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