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2010年1月22日 (金)

非居住者の同族会社株式譲渡に対する課税

 海外転勤海外移住して日本で所得税法上非居住者となり、その後自分の会社の株式(内国法人で同族会社の非公開株式と仮定)を譲渡した場合、日本で税金は発生するのでしょうか?

 日本に住所を有しないで、かつ居所も有しない場合には、所得税法上非居住者に該当し、国内源泉所得に対してのみ課税されることになります。

 また日本に恒久的施設を有しない非居住者が行う株式等の譲渡に関して、次に該当する場合には国内源泉所得として課税対象となります(所得税法施行令第280条第2項、同第291条第1項)。言い換えれば、下記に該当しなければ日本に恒久的施設を有しない非居住者が行う株式等の譲渡に関して日本では課税されません。

(1)内国法人の株券等の買集めをし、これをその内国法人等に対し売却することによる所得

(2)内国法人の特殊関係株主等である非居住者が行う、その内国法人の株式等の譲渡による所得

(3)税制適格ストックオプションの権利行使により取得した特定株式等の譲渡による所得

(4)特定の不動産関連法人の株式の譲渡による所得

(5)日本に滞在する間に行う内国法人の株式等の譲渡による所得

(6)日本国内にあるゴルフ場の株式形態のゴルフ会員権の譲渡による所得

 (1)~(5)に該当する場合は15%の申告分離課税が適用され、(6)については総合課税(最高税率40%)が適用されます。なお、非居住者の株式等の譲渡に対する住民税課税はありません。

所得税法施行令第291条第1項

【恒久的施設を有しない非居住者の課税所得】

3.内国法人の発行する株式その他内国法人の出資者の持分による所得で次に掲げるもの

イ 同一銘柄の内国法人の株式等の買集めをし、その所有者である地位を利用して、当該株式等をその内国法人若しくはその特殊関係者に対し、又はこれらの者若しくはその依頼する者のあつせんにより譲渡をすることによる所得
ロ 内国法人の特殊関係株主等である非居住者が行うその内国法人の株式等の譲渡による所得

4.不動産関連法人の株式(出資及び投資信託及び投資法人に関する法律第2条第14項(定義)に規定する投資口(第9項において「投資口」という。)を含む。第8項及び第9項において同じ。)の譲渡による所得

5.第280条第2項第6号又は第13号に掲げる株式若しくは出資又は権利の譲渡による所得

6.前各号に掲げるもののほか、非居住者が国内に滞在する間に行う国内にある資産の譲渡による所得

 ここで非居住者となった株主が内国法人である同族会社の非公開株式を譲渡した場合ですが、上記(2)に該当することになりますので国内法上は15%の申告分離課税が適用されることになります。

 しかし、租税条約を締結している国に海外転勤や海外移住をした場合、租税条約に別途定めがあれば国内法に優先して租税条約が適用されることになります。

 たとえば、米国との租税条約では第13条(譲渡収益)で次のように定められています。

7.1から6までに規定する財産以外の財産の譲渡から生ずる収益に対しては、譲渡者が居住者とされる締約国においてのみ租税を課することができる。

 その他財産にかかる譲渡所得に対しては居住地国課税、つまり譲渡者が居住者とされる締約国においてのみ租税を課することができるとしています。

 したがって、米国に海外転勤又は海外移住した場合には譲渡者は米国居住者となり米国においてのみ課税されることになり日本で課税されることはありません。

 また、シンガポールとの租税条約では第13条(譲渡収益)で次のように定められています。

4.(b)一方の締約国の居住者が他方の締約国の居住者である法人の株式の譲渡によって取得する収益に対しては、次のことを条件として、当該他方の締約国において租税を課することができる。

(i)当該譲渡者が保有し又は所有する株式(当該譲渡者の特殊関係者が保有し又は所有する株式で当該譲渡者が保有し又は所有するものと合算されるものを含む。)の数が、当該課税年度中又は当該賦課年度に係る基準期間中のいかなる時点においても当該法人の株式の総数の少なくとも二十五パーセントであること。

(ii)当該譲渡者及びその特殊関係者が当該課税年度中又は当該賦課年度に係る基準期間中に譲渡した株式の総数が、当該法人の株式の総数の少なくとも五パーセントであること。

5.1から4までに規定する財産以外の財産の譲渡から生ずる収益に対しては、譲渡者が居住者である締約国においてのみ租税を課することができる

 譲渡した株式の所有割合が25%以上、かつ譲渡株式総数が5%以上である場合など、上記条件に該当する場合には、シンガポール居住者であったとしても日本において課税が行われます。つまり、一定の株式譲渡所得に対しては企業居住地国課税が適用され内国法人の居住地国である日本で課税されます。

 しかし、譲渡した株式の所有割合及び譲渡株式総数等が上記条件に該当しない場合にはシンガポールで租税を課すことができますが、日本では免税となり課税されることはありません。なお、シンガポール居住者の課税所得は国内源泉所得のみであり、国外源泉所得は海外からの送金分を含めて免税となっています。またキャピタルゲインに対する課税は原則としてありませんので、結果として日本及びシンガポールの両方で課税が行われないことになります。

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