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2010年4月26日 (月)

居住者。非居住者。住所の判定とは?(その2)

 シンガポール居住者日本人の日本法人株式譲渡に関する高裁判決の基本的な判断基準は次のとおりです。

租税法が多数人を相手方として課税を行う関係上、客観的な表象に着目して画一的に規律せざるをえないところからして、一般的には、住居、職業、生計を一にする配偶者その他親族の居所、資産の所在等の客観的事実に基づき、総合的に判断するのが相当である。これに対し、主観的な居住意思は、通常は、客観的な居住の事実に具体化されるであろうから、住所の判定には無関係であるとは言えないが、このような居住意思は必ずしも常に存在するわけではなく、外部から認識し難い場合が多いため、補充的な考慮要素にとどまるものと解される。

 法に規定する住所は客観的事実によって判定することは明確ですが、どのような客観的事実によって判定するかというと、たとえば次のような事実によって判定することになります。

1)住居:日本に住居を構えているかどうか、そこで生活しているかどうか
2)職業:日本で仕事をしているかどうか
3)生計を一にする配偶者等の居所:日本で家族が住んでいるかどうか
4)資産の所在:日本に資産があるかどうか

 上記は主な例示であってその他の客観的事実があればそれも考慮して住所が日本にあるかどうかを検討することになります。

 また高裁判決では「主観的な居住意思は・・・補充的な考慮要素にとどまる」と解釈されていますので、主観的な居住意思は客観的事実を補充する役割でしかなく、客観的事実よりも優先して、あるいは客観的事実と同等に考慮されるべきものではないとしていると考えられます。

 シンガポール居住者日本人のシンガポール及び日本での滞在日数は次のとおりです。

・平成12年12月 日本から出国

・平成12年中の滞在日数:シンガポール15日:日本13日
・平成13年中の滞在日数:シンガポール187日:日本172日
・平成14年中の滞在日数:シンガポール179日:日本179日

・日本における滞在場所はすべてホテルでその都度異なるホテルに滞在していた。
・シンガポールには日常生活を過ごすのに十分な設備を有するアパートを継続して賃貸していた。

 滞在日数だけで判断すると日本での滞在が2分の1に近いため、これで本当にシンガポールに居住していたと言えるのかどうか疑問です。

 しかし、この判例の場合には日本における住居が特定の場所に無く、つまりホテルを転々として日本で滞在していた事実が住居を特定できなかったことになり、またシンガポールで生活に困らない家具や設備を有するアパートを賃貸していた客観的事実が国税局の日本に居住しているという主張を退けたと考えられます。(その3へ続く)
(この記事は月刊国際税務2008.6月号VOL28国際税務研究会著より一部引用しています)

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