« 居住者。非居住者。住所の判定とは?(その4) | トップページ | 国際税務研究会主催セミナー「外国子会社に係る税務について」 »

2010年5月10日 (月)

連結納税採用海外子会社のタックスヘイブン税制における実効税率計算

 海外に連結グループを有する日本法人において、当該海外連結グループが現地で連結納税制度を採用している場合、タックスヘイブン対策税制上の租税負担割合、つまり実効税率の計算はどのように行うのでしょうか?

【内国法人親会社A社】
    ↓100%
 ----------------
 【連結グループ】
 海外子会社 B社(所得△50)
    ↓100%
 海外孫会社 C社(所得100)
 ----------------

・税率:26%とする

 連結納税による所得と税額
・連結所得:50=△50+100
・連結納税額:13=50X26%

 上記のような事例の場合、【C社】の実効税率の計算はア)またはイ)のどちらで行うのが正しいのでしょうか?
(B社は赤字のため納税額が生じませんが、C社は黒字であり連結納税制度を採用することで納税額を減額できていますので、C社の実効税率が税務上は問題になると考えます)

ア)C社が単体課税の場合に本来支払うべき税額である100X26%=26を分子、分母はC社の所得100として計算する

 26 ÷ 100 = 26% > 25%

イ)分子はB社を通じて支払う連結納税額13、分母はC社の所得100として計算する

 13 ÷ 100 = 13% ≦ 25%

 ア)の場合には実効税率が25%超となりタックスヘイブン対策税制の適用はありませんが、イ)の場合には実効税率が25%以下となるため適用除外要件を満たさなければタックスヘイブン対策税制が適用されることになります。(平成22年度税制改正後は20%以下となります)

 そもそもタックスヘイブン対策税制(現在は外国子会社合算税制という)が創設されたのは昭和53年(1978年)のことで、我国ではまだ連結納税制度を採用していませんでした(連結納税制度は平成14年(2002年)に導入)。

 そのような環境下で創設されたタックスヘイブン対策税制は平成4年に従来のタックスヘイブン国個別指定制度から実効税率方式に改正が行われた後もずっと”単体納税”を前提とする制度設計であったといえるかと思います。

 次の通達は、合算課税の対象となる留保所得を計算する際に黒字の会社と赤字の会社の所得を合算して損益通算することは認めないという規定であり、タックスヘイブン対策税制は連結納税制度を前提として制度設計しているわけではないことがわかるかと思います。

租税特別措置法関係通達66の6-11 (特定外国子会社等が2以上ある場合の損益の不通算)

措置法第66条の6第1項に規定する課税対象金額は特定外国子会社等ごとに計算するから、内国法人に係る特定外国子会社等が2以上ある場合において、その特定外国子会社等のうちに欠損金額が生じたものがあるときであっても、他の特定外国子会社等の所得の金額との通算はしないことに留意する。

 単体課税を前提とするタックスヘイブン対策税制において上記のケースでア)またはイ)のいずれの計算方法を採用すれば正しいのでしょうか?

 たとえば、孫会社であるC社が次のような前提条件であればア)の方法を採用すべきと考えます。

1.C社は事業実体をもって活動していること
2.海外連結グループに適用される海外の連結納税制度が我国の制度と比較して類似していること
3.連結納税制度を採用することで我国制度と比較して大幅に異なる納税額が算出されないこと

 事業実体のあるC社に対してイ)の計算方法を採用し、タックスヘイブン対策税制の適用とするのはあまりにも納税者不利の考え方になり、法の趣旨を逸脱すると思います。

 逆に、孫会社C社がペーパーカンパニーで事業実体がない場合にはイ)の計算方法を採用すべきと考えます。

 ペーパーカンパニーであるC社の租税負担割合の計算をする際に、分子を計算上の税率26%としてしまうとペーパーカンパニーであるにもかかわらずタックスヘイブン対策税制を適用することができなくなります。つまり、ペーパーカンパニーを孫会社として設立しそこで利益をプールすれば良いという考え方が生じますので問題です。

 このような場合には分子を実際の納税額である13と考え実効税率を計算し、C社に対してタックスヘイブン対策税制を適用することが法の趣旨からは望ましいと考えます。

 連結納税制度を採用している海外連結グループ会社がある場合の租税負担割合の計算には十分留意すべきと思います。

※許可無く上記内容をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じさせて頂きます

-----------------------------------
〒541-0042
大阪市中央区今橋2-3-16MID今橋ビル11F
電話(06)4792-7580 FAX(06)6221-2371
   【世界の税金・海外取引の節税】
運営責任者:税理士・公認会計士谷本治郎

-----------------------------------
copyright2009あすか税理士法人・国際税務会計事務所
個人情報保護方針

« 居住者。非居住者。住所の判定とは?(その4) | トップページ | 国際税務研究会主催セミナー「外国子会社に係る税務について」 »

タックスヘイブン対策税制」カテゴリの記事

個別具体的相談は有料

  • ブログ掲載内容問合せはご遠慮下さい。掲載された記事を参照した結果発生した損失や損害について弊社は一切責任を負いませ ん。記事中には私見も含まれます
  • ↓ご相談前にお読み下さい

中央記事枠はブラウザの幅で変わります

  • 東日本大震災により被災されました方々に心よりお見舞い申し上げます 一日も早い復興をお祈り申し上げます

富裕層・資産家・経営者など個人向けサービス

  • 相談報酬/節税プランニング料金はこちらから

外国法人経費削減

税務顧問について

  • 法人個人事業者料金例
  • 税務顧問契約

その他コンサルティング