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2010年7月20日 (火)

日本滞在外国人のホームリーブ(HomeLeave/一時帰国)費用

 外国人が日本に1年以上居住して会社に勤務すると給与所得として日本の所得税の対象となりますが、この外国人が自分の国に住んでいる家族のもとへ一時帰国した場合のホームリーブ費用(帰国費用)は、給与として課税されるのでしょうか?

 源泉所得税個別通達(直法6-1(例規)昭和50年1月16日)にて次のように説明されています。

【国内において勤務する外国人に対し休暇帰国のため旅費として支給する金品に対する所得税の取扱いについて】

 標題のことについて、下記のとおり定めたから、これによられたい。なお、この取扱いは、今後処理するものについて適用するものとする。
(趣旨)
  本国を離れ、気候、風土、社会慣習等の異なる国において勤務する者について、使用者が、その者に対し休暇帰国を認め、その帰国のための旅行の費用を負担することとしている場合があるが、その休暇帰国はその者の労働環境の特殊性に対する配慮に基づくものであることに顧み、使用者がその旅行の費用に充てるものとして支給する金品については、強いて課税しないこととするのが相当と認められるからである。

(記)
 使用者が、国内において長期間引続き勤務する外国人に対し、就業規則等に定めるところにより相当の勤務期間(おおむね1年以上の期間)を経過するごとに休暇のための帰国を認め、その帰国のための旅行に必要な支出(その者と生計を一にする配偶者その他の親族に係る支出を含む。)に充てるものとして支給する金品については、その支給する金品のうち、国内とその旅行の目的とする国(原則として、その者又はその者の配偶者の国籍又は市民権の属する国をいう。)との往復に要する運賃(航空機等の乗継地においてやむを得ない事情で宿泊した場合の宿泊料を含む。)でその旅行に係る運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の旅行の経路及び方法によるものに相当する部分に限り、課税しなくて差支えない。

 結論は「課税しなくて差し支えない。」ということですが、その前文で「・・・に限り」と条件がついています。

・日本で”長期間継続”して勤務する外国人に対するホームリーブ(帰国)費用であること

・”相当期間(おおむね1年以上)ごと”の休暇のための帰国であることを就業規則等で定めること

・支払われるホームリーブ(帰国)費用は最も経済的かつ合理的と認められる通常の旅行費用の範囲内であること

 また、所得税基本通達で非課税とされる旅費の範囲は次のとおり規定されています。

(非課税とされる旅費の範囲)

9-3 法第9条第1項第4号の規定により非課税とされる金品は、同号に規定する旅行をした者に対して使用者等からその旅行に必要な運賃、宿泊料、移転料等の支出に充てるものとして支給される金品のうち、その旅行の目的、目的地、行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品をいうのであるが、当該範囲内の金品に該当するかどうかの判定に当たっては、次に掲げる事項を勘案するものとする。

(1)その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人のすべてを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。

(2)その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。

 ホームリーブ費用の旅費の範囲も上記非課税とされる旅費の範囲と同じように考えて、個別通達ではさらに具体的に詳細に旅費の内容を次のように規定しています。

・その者と生計を一にする配偶者その他の親族に係る支出を含む旅費

・国内とその旅行の目的とする国との往復に要する旅費

・原則として、その者又はその者の配偶者の国籍又は市民権の属する国との往復の旅費である

・航空機等の乗継地においてやむを得ない事情で宿泊した場合の宿泊料を含む旅費

・運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の旅行の経路及び方法によるものに相当する旅費

 なお、個別通達で注意を要するのは、長期間継続して勤務した外国人を対象としていますが、長期間の定義がないこと、また帰国の回数をおおむね1年ごとと定めていますが、年2回や3回、それ以上帰国している場合にはどうなるのか、といったことがわかりません。

 外資系企業では、外国人の日本勤務の条件として、「xx年以上勤務することを条件に、xx年(xxヶ月)ごとに帰国を認める」といような契約を締結することが多いでしょうし、車のレンタル料や社宅家賃及び社会保険の負担など福利厚生面での現物給与課税の問題も多々あります。

 私見ですが、「長期間継続勤務」という場合、やはり最低でも2年から3年以上の契約期間が必要ではないかと思われます。1年契約でホームリーブ費用を支払うような会社は一般常識から考えると少ないような気がしますし、1年の短期契約でホームリーブ費用を支払うということは、外国人に対する賞与とみなされる可能性が高いでしょう。

 また、年に数回帰国している場合にはどうなるのかといった疑問が生じますが、毎月又は3ヶ月ごとに帰国したり、1年に何回も帰国を許す会社はさほど多くないのではないかと思われます。

 もし、毎月のようにホームリーブ費用が支払われている場合には、給与所得として課税されると個人的には考えます。また、3ヶ月に1度、半年に1度、ホームリーブ費用が支払われている場合にも、給与所得として課税されると考えます。
 
 日本勤務の外資系企業の外国人に対するホームリーブ費用の取扱い及び福利厚生の現物給与課税には留意すべきです。
※許可無く上記内容をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じさせて頂きます

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