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2011年2月19日 (土)

武富士事件(海外での資産贈与)納税者勝訴。

 平成23年2月19日付日本経済新聞朝刊からの引用です。
 

武富士創業者の元会長の長男が、生前贈与を受けた海外資産に約1330億円を課税されたのは不当だとして取り消しを求めた訴訟の上告審判決が2月18日に最高裁であった。裁判長は課税を適法とした二審・東京高裁判決を破棄、取り消しを命じた一審・東京地裁判決を支持した。

 一審・地裁で納税者勝訴、二審・高裁で国税勝訴、最高裁で納税者が逆転勝訴した事件です。

 平成17年(2005年)3月4日付の同新聞にて、武富士の元会長長男が株式の贈与に関して1600億円超の申告漏れを国税局より指摘され1300億円追徴されているとの記事が掲載されました。

 当時の記事では、株式をいったん日本からオランダ法人に1000億円で譲渡して、その株式の9割を香港に住む長男に贈与したと記載されていました。また、その際株価が上昇したので2倍近くの価値になり1600億円という巨額の財産の贈与となったとのことでした。

 新聞によると長男はすでに延滞税を含め約1600億円を納付済みで、国はこの判決により還付加算金(利子)約400億円を上乗せしたうえで、総額約2000億円を還付するとのことです。

 長男が日本における居住者か、または非居住者なのか、日本あるいは香港のどちらに住所があったのかが争点になったと思われますが、最高裁は次のように判断したと報道されています。

 仕事以外も含めた香港での滞在日数の割合は約65%、国内滞在割合は26%だったとして、生活の本拠は香港だったと認定。税回避が目的でも客観的な生活実態は消滅せず、納税義務はない。海外経由で両親が財産を無税で移転したもので、著しい不公平感を免れない。国内にも住居があったとも見え、一般の法感情からは違和感もある。厳格な法解釈が求められる以上、課税取り消しはやむを得ない。
  朝日新聞社asahi.comは次のように報道しています。
 第二小法廷は焦点の「住所」について、判例を引用して「生活の本拠」を客観的に判断すべきだと解釈。長男が香港に赴任していた3年半のうち約3分の2は香港に滞在し、現地で仕事もしていたことから「生活の本拠が日本だとは言えない」と認定した。

 二審判決は「税逃れの意図」を重視したが、第二小法廷は主観的に税を逃れる目的があっても住所の認定は左右されないと判断。「こうした税逃れを認めないなら、立法で対処すべきだ」と述べた。現在は法改正により、同様の事例は課税される。

 裁判長の須藤裁判官は補足意見で、親子間で税負担なく財産が移転されたことについて「著しい不公平感を免れないが、租税法律主義からはやむを得ない」と述べた。

 判決によると、元会長夫妻は武富士株約1569万株を持つオランダ法人の株式の90%を長男に贈与。香港居住を理由に贈与税を納めなかった長男に東京国税局は05年、約1650億円の申告漏れを指摘した。

 なお、判決は次のPDFに記載されています。
最高裁判決全文

 判決内容をよく読んで検討してみたいと思います。ただ、この判決を受けて海外資産に対する課税は今後強化されるかもしれません。
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