受取配当益金不算入

2010年6月24日 (木)

国際税務研究会主催セミナー「外国子会社に係る税務について」(その4)

 法人税法基本通達3-3-4、連結納税基本通達3-3-4は「外国源泉税等の額を課されたことを証する書類」について新設された通達です。

 外国子会社からの受取配当等の益金不算入制度の適用を受けるケースでは、当該配当に関する一定書類を保存する必要がありますが、当該配当支払に関して外国源泉税等の額がある場合には、当該外国源泉税等の額を課されたことを証する申告書等の一定の書類を保存することが必要になります。

(外国源泉税等の額を課されたことを証する書類) 法人税法基本通達3-3-4

 規則第8条の5第3号《外国子会社から受ける配当等の益金不算入に関する書類》の「外国源泉税等の額を課されたことを証する……その納付を証する書類」には、申告書の写し又は現地の税務官署が発行する納税証明書等のほか、更正若しくは決定に係る通知書、賦課決定通知書、納税告知書、源泉徴収の外国源泉税等に係る源泉徴収票その他これらに準ずる書類又はこれらの書類の写しが含まれる

法人税法施行規則第八条の五

 法第二十三条の二第二項 (外国子会社から受ける配当等の益金不算入)に規定する財務省令で定める書類は、次に掲げる書類とする。

一  法第二十三条の二第一項 に規定する剰余金の配当等の額(以下この条において「剰余金の配当等の額」という。)を支払う外国法人が同項 に規定する外国子会社(以下この条において「外国子会社」という。)に該当することを証する書類

二  外国子会社の剰余金の配当等の額に係る事業年度の貸借対照表、損益計算書及び株主資本等変動計算書、損益金の処分に関する計算書その他これらに類する書類

三  外国子会社から受ける剰余金の配当等の額に係る法第三十九条の二 (外国子会社から受ける配当等に係る外国源泉税等の損金不算入)に規定する外国源泉税等の額(以下この号において「外国源泉税等の額」という。)がある場合には、当該外国源泉税等の額を課されたことを証する当該外国源泉税等の額に係る申告書の写し又はこれに代わるべき当該外国源泉税等の額に係る書類及び当該外国源泉税等の額が既に納付されている場合にはその納付を証する書類

※許可無く上記内容をインターネットその他に転記・転載することは堅く禁じさせて頂きます

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2010年6月 9日 (水)

国際税務研究会主催セミナー「外国子会社に係る税務について」(その3)

 連結納税を行っている場合、連結グループに属する各法人が保有する外国子会社の保有割合の判定について、租税条約の緩和条件を適用され軽減される場合(米国、フランス、オーストラリア、ブラジル、カザフスタン)には、連結グループ全体の保有割合で判定するのではなく、グループ各社の保有割合で判定することになります。

(租税条約の適用がある場合の外国子会社の判定)

法人税基本通達3-3-3

 内国法人(連結法人に限る。)に係る外国子会社の判定において、その判定の対象となる外国法人が租税条約の二重課税排除条項により当該外国法人の法第23条の2第1項《外国子会社から受ける配当等の益金不算入》に規定する発行済株式又は出資(その有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額に係る保有割合が軽減されている相手国の外国法人である場合には、当該内国法人及び当該内国法人との間に連結完全支配関係を有する連結法人が保有している当該外国法人の発行済株式又は出資の数又は金額を合計した数又は金額の保有割合が25%未満であっても、当該内国法人が当該租税条約の二重課税排除条項に定める保有割合以上の株式又は出資を株式保有期間を通じて有するときは、当該内国法人については同項の規定の適用があることに留意する。

 たとえば、日米租税条約の場合の保有割合は議決権株式の10%に軽減されていますが、グループ各社で判断すると次のようになります。

・ケース(1)

「米国法人」←「P1連結法人7%」+「P2連結法人7%」+「P3連結法人7%」+「P4連結法人7%」

 グループ各社は10%以上議決権株式を所有していませんが、連結グループ全体の保有割合は28%になり25%以上のため、P1~P4の各社は配当免税の措置を受けることができます。

・ケース(2)

「米国法人」←「P1連結法人10%」+「P2連結法人10%」+「P3連結法人4%」

 グループ全体では24%となり25%未満のため、配当免税制度を適用できないのではないかと考えられますが、上記の通達を適用すると、グループ各社の保有割合が10%以上であれば配当免税を適用できるため、結果として10%以上を保有しているP1及びP2の各社は配当免税を受けることができます。また、4%を保有しているP3社は10%未満のため適用されません。

・ケース(3)

「米国法人」←「P1連結法人8%」+「P2連結法人8%」+「P3連結法人8%」

 グループ全体では24%となり25%未満ですから、配当免税を適用できません。また、グループ各社の保有割合も10%未満となり、P1~P3の3社はすべて配当免税を受けることができません。

 租税条約により株式保有割合等が軽減緩和される場合には、当該保有割合等の算定は連結グループに属する単体法人ごとにそれぞれ判断することになります。

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2010年5月26日 (水)

国際税務研究会主催セミナー「外国子会社に係る税務について」(その2)

 内国法人が、同じ事業年度内において同じ外国法人から2以上の配当を受ける場合、当該配当が益金不算入となるかどうかの判定は、それぞれの配当ごとに判断することになります。(法基通3-3-2)

(一の事業年度に2以上の剰余金の配当等を同一の外国法人から受ける場合の外国子会社の判定)

法人税法基本通達3-3-2

内国法人が一の事業年度に2以上の剰余金の配当等(法第23条第1項第1号《受取配当等の益金不算入》に規定する剰余金の配当若しくは利益の配当又は剰余金の分配をいう。以下3-3-2において同じ。)を同一の外国法人から受ける場合において、当該外国法人が外国子会社(法第23条の2第1項《外国子会社から受ける配当等の益金不算入》に規定する「外国子会社」をいう。以下3-3-3において同じ。)に該当するかどうかは、それぞれの剰余金の配当等の額の支払義務が確定する日(令第22条の3第1項《外国子会社の要件等》に規定する「支払義務が確定する日」をいう。)において当該内国法人の保有する当該外国法人の株式又は出資の数又は金額に基づいて判定することに留意する

 配当を行うタイミングに関しては日本においてもかなり緩和されていますが、諸外国においては同じ事業年度内において何度も配当を行える場合があります。

 そのような場合に外国法人の株式等の持分割合が常に25%以上であれば何ら問題なく配当を益金不算入処理できますが、もし、当該年度中に追加取得などが生じ持分割合が変動した場合にはどのように考えるかということが上記通達に記載されています。

・配当の支払義務確定日以前6ヶ月間の保有割合が25%以上
  ⇒ 益金不算入できる

・配当の支払義務確定日以前6ヶ月間の保有割合が25%未満
  ⇒ 益金不算入できない

 同じ外国法人から同じ事業年度内に2度以上の配当を受ける場合には、配当の支払義務確定日がいつなのかについて注意する必要があります。

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2010年5月17日 (月)

国際税務研究会主催セミナー「外国子会社に係る税務について」(その1)

 国際税務研究会主催「外国子会社に係る税務について」に関するセミナー内容ですが、まずはじめに適用対象となる外国子会社の要件について説明が行われました。

 内国法人が外国法人の発行済株式または議決権のある株式等の25%以上の株式を、配当等の支払義務が確定する日以前6ヶ月以上継続的に保有していることが要件となっています(法人税法第23条の2第1項及び法令22の3第1項)。

 ・持株割合25%以上、かつ6ヶ月以上継続保有

 注意する点は自己株式等は除くこと、また発行済株式あるいは議決株式のいずれかが上記の条件を満たせばよいということ、及び1つの株式に議決権の異なるものがあったとしても考慮しないことなどがあげられると思います。

 なお、連結納税を選択している事業グループの場合には、外国子会社の持株割合は連結グループ全体で25%以上保有しているかどうかで判定することになります。

 また租税条約の規定により外国子会社の持株要件が緩和されている場合には、その緩和された持株割合によることになっています(法令22の3第4項)。現在のところ下記の5カ国と二重課税排除条項が規定されています。

【各国との二重課税排除条項】

・米国 10%(ただし、議決権株式のみを対象とする、日米租税条約第23条)


「日米租税条約第23条より一部抜粋」
1 日本国以外の国において納付される租税を日本国の租税から控除することに関する日本国の法令の規定に従い、・・・・・

(b) 合衆国において取得される所得が、合衆国の居住者である法人により、その議決権のある株式の十パーセント以上を配当の支払義務が確定する日に先立つ六箇月の期間を通じて所有する日本国の居住者である法人に対して支払われる配当である場合には、日本国の租税からの控除を行うに当たり、当該配当を支払う法人によりその所得について納付される合衆国の租税を考慮に入れるものとする。・・・・・

2 合衆国は、合衆国の法令(その一般原則を変更することなく随時行われる改正の後のものを含む。)の規定及び当該法令上の制限に従い、合衆国の居住者又は市民に対し、次のものを合衆国の租税から控除することを認める。・・・・・・

(b) 合衆国の居住者である法人で、日本国の居住者である法人の議決権のある株式の十パーセント以上を所有し、当該日本国の居住者である法人から配当の支払を受けるものについては、当該配当に充てられる利得に関して当該日本国の居住者である法人又はこれに代わる者により支払われた、又は支払われるべき日本国の租税・・・・・・・

・ブラジル 10%(日伯租税条約第22条)

・オーストラリア 10%(日豪租税条約第25条)

・カザフスタン 10%(日カザフスタン租税条約第22条)

「日カザフスタン租税条約第22条より一部抜粋」

2 日本国以外の国において納付される租税を日本国の租税から控除することに関する日本国の法令の規定に従い、・・・・・

(b)カザフスタン内において取得される所得が、カザフスタンの居住者である法人により、当該法人の議決権のある株式又は発行済株式の十パーセント以上を配当の支払義務が確定する日に先立つ六箇月の期間を通じて所有する日本国の居住者である法人に対して支払われる配当である場合には、日本国の租税からの控除を行うに当たり、当該配当を支払う法人によりその所得について納付されるカザフスタンの租税を考慮に入れるものとする。・・・・・

・フランス 15%(日仏租税条約第23条)

(~その2へ続く~)

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2010年5月12日 (水)

国際税務研究会主催セミナー「外国子会社に係る税務について」

 平成22年5月10日大阪で開催された国際税務研究会主催の特別無料セミナー「外国子会社に係る税務について」(講師国税庁調査査察部調査課主査秋元秀仁氏)に参加いたしました

 当日は受講無料ということもあってたくさんの方が参加されていました。

 3月決算の上場会社はちょうどこれからが決算発表のピークで税務に関しても申告書の最終チェックが行われていると思います。

 申告書を提出する前に昨年度税制改正で導入された「外国子会社配当益金不算入制度」の処理に関して少しでも納税者の誤解がないようにセミナーを開催した、とセミナー冒頭で講師秋元氏は説明されていました。

 昨年12月に開催された【外国子会社配当益金不算入制度】国際税務研究会主催セミナーですでに取上げられていた事項に関し、今年はじめに国税庁から通達及びQ&Aが公表されたことにともない、通達とQ&Aの詳細な解説が行われました。

 今回のセミナーは昨年のセミナーの復習のような内容であまり目新しい情報はなかったのですが、ブログを読んで頂いている方には必要な情報だと思いますので、随時まとめていきたいと思います。

 ただ、平成22年度税制改正におけるタックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制)の改正に関して、特に【資産性所得の合算課税】については当局としても「法人の所得に色をつけた新しい試みゆえに税務の現場で混乱が生じないかどうか心配。」とコメントされていましたので注意が必要かと思います。

 詳細は次回以降の記事でアップしたいと思います。 

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2010年2月10日 (水)

オーストラリアで損金算入される優先配当の益金不算入

 昨年12月に開催された国際税務研究会主催の「外国子会社配当益金不算入制度」セミナーのなかで講師である国税庁調査査察部調査課主査秋元秀仁氏が解説していたオーストラリアで損金算入される優先配当に関して記事アップしてみたいと思います。

 内国法人であるP社はオーストラリアに100%出資の外国子会社S社を持っています。P社が所有する株式は普通株式が80%で優先株式が20%です。

【P社:日本親会社(内国法人)】

 100%出資(内20%優先株式)

  ↓↓

【S社:子会社(オーストラリア法人)】

 P社がS社から優先配当を受け取った場合、オーストラリアではこの優先配当は一定の条件のもとでS社で損金算入されることになります。

 優先配当を受け取った内国法人であるP社はこの配当を外国子会社配当益金不算入制度を適用して益金不算入したとすると、オーストラリア及び日本の両国において課税が生じないことになります。

【S社:子会社(オーストラリア法人)】

   【配当を損金算入】

  ↓優先配当↓

【P社:日本親会社(内国法人)】

   【配当を益金不算入】

 日豪両国のどちらにおいても課税が生じないという、いわば「タックスフリー」の状態になり企業にとっては節税効果の高いスキームになります。

 本当にこのようなスキームが認められるのか?と不思議に思う方も多いのではないでしょうか?

 平成21年11月16日付「週間税務通信NO.3090(税務研究会版)」にて講師である秋元氏がこの件について記事掲載しています。また、昨年12月のセミナーでも「損金算入される優先配当については過度な節税スキームの実行に関しては当局としても配当益金不算入を認めない措置をとる」とコメントされていました。

 加えて先ごろ出版された「完全詳解タックスヘイブン対策税制・外国子会社配当益金不算入制度(税務研究会)KPMG税理士法人共著」P302においても、オーストラリアの優先配当は外国子会社配当益金不算入制度の適用対象になると解説されています。

 どこまでが合法的な節税でどこまでが租税回避スキームに該当するのか、判断が難しいと思いますが、左記書籍では「出資から配当に至る一連の取引が租税回避スキームの一翼として利用されるなど、課税上弊害があると認められるようなケースについて」は適用されないと解説されています。

 つまり、オーストラリア法人を設立する段階、あるいは設立後優先株式を発行した後、オーストラリア法人から日本親会社である内国法人へ優先配当を支払うまでの一連の取引の流れが日豪両国における制度を利用した租税回避目的のためだけの取引であれば、配当益金不算入制度の適用はないということになるかと思います。

 節税対策なのか、租税回避なのか、実際にはグレーな取引もあり、線引きの難しい取引になるかと思いますが、オーストラリア法人から優先配当を受け取る場合には留意する必要があります。


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2010年1月30日 (土)

国税庁、外国子会社配当益金不算入制度に係る基本通達等の一部改正及びQ&Aを公表

 昨年末12月7日(月)大阪にて開催された国際税務研究会主催セミナーにて講師を務めた国税庁調査査察部調査課主査秋元秀仁氏が述べていた外国子会社配当益金不算入制度に関する【法人税基本通達等の改正】及び【Q&A】が国税庁ホームページに公表されました。

 基本通達等の改正は平成22年1月8日、Q&Aは1月20日に各々公表されています。

 まず、外国子会社配当益金不算入制度に係る法人税基本通達の一部改正ですが、次の3つの通達が新設されていますので、国税庁HPより抜粋し引用記載いたします。

(法基通3-3-2)

(一の事業年度に2以上の剰余金の配当等を同一の外国法人から受ける場合の外国子会社の判定)

 内国法人が一の事業年度に2以上の剰余金の配当等を同一の外国法人から受ける場合において、当該外国法人が外国子会社に該当するかどうかは、それぞれの剰余金の配当等の額の支払義務が確定する日において当該内国法人の保有する当該外国法人の株式又は出資の数又は金額に基づいて判定することに留意する。


 内国法人が一の事業年度に2以上の剰余金の配当等を同一の外国法人から受ける場合において、その外国法人が外国子会社に該当するかどうかの判定はいつ行うのかといった疑義が生じます。

 この点について、その外国法人が外国子会社に該当するかどうかは、それぞれの剰余金の配当等の額の支払義務が確定する日においてその内国法人の保有するその外国法人の株式の数等に基づいて判定することを明らかにしています。

(法基通3-3-3)

(租税条約の適用がある場合の外国子会社の判定)

 内国法人(連結法人に限る。)に係る外国子会社の判定において、その判定の対象となる外国法人が租税条約の二重課税排除条項により当該外国法人の法第23 条の2第1項に規定する発行済株式又は出資の総数又は総額に係る保有割合が軽減されている相手国の外国法人である場合には、当該内国法人及び当該内国法人との間に連結完全支配関係を有する連結法人が保有している当該外国法人の発行済株式又は出資の数又は金額を合計した数又は金額の保有割合が25%未満であっても、当該内国法人が当該租税条約の二重課税排除条項に定める保有割合以上の株式又は出資を株式保有期間を通じて有するときは、当該内国法人については同項の規定の適用があることに留意する。


 連結法人である内国法人に係る外国子会社の判定において、その対象となる外国法人が租税条約の二重課税排除条項により外国法人に対する持株割合が軽減されている相手国の外国法人である場合には、その軽減された持株割合をどのように適用するのかといった疑義が生じます。

 この点について、内国法人の属する連結グループにおけるその持株割合が25%未満であっても、その内国法人が租税条約の二重課税排除条項に定める持株割合以上の株式等をその剰余金の配当等の額の支払義務が確定する日以前6月の期間を通じて有するときは、その内国法人については本制度の適用があることを明らかにしています。

(法基通9-5-5)

(内国法人に帰せられるものとして計算される金額を課税標準として当該内国法人に対して課せられる外国法人税)

 令第78 条の2第1項及び第2項((損金の額に算入されない外国源泉税等)) に規定する外国法人税には、その所在地国でいわゆるパス・スルー課税が適用される事業体で、我が国においては外国法人に該当するものの所得のうち、その所在地国において構成員である内国法人に帰せられるものとして計算される金額に対して課される外国法人税が含まれる。


 外国子会社配当益金不算入制度の適用を受ける場合において、①剰余金の配当等の額を課税標準として源泉徴収の方法に類する方法により課される外国法人税の額は損金の額に算入しないこととされました。また、②剰余金の配当等の額の計算の基礎とされる金額を課税標準として課される外国法人税の額についても、同じく損金の額に算入しないこととされましたが、これが具体的にどのようなものをいうのかといった疑義が生じます。

 この点について、②の外国法人税には、その所在地国でいわゆるパス・スルー課税が適用される事業体で、我が国において外国法人に該当するものの所得のうち、その所在地国において構成員である内国法人に帰せられるものとして計算される金額に対して課される外国法人税が含まれることを明らかにしています。

 次に、外国子会社配当益金不算入制度に関するQ&Aですが、次の4つのQ&Aが公表されています。

(問1)特定外国子会社等から受ける配当等に係る適用関係

 特定外国子会社等から受ける配当等の額に係る配当免税制度の適用について、配当等の支払に係る基準日の属する事業年度が施行日前に開始するかどうかにより、旧法の適用となるか新法の適用となるかを判断することを明確にしています。

 また、実務上の取扱いについて疑義が生じている”配当基準日”に関して当局の見解が示されています。

 すなわち、一義的には配当基準日は直前事業年度の決算日となりますが、”適法な手続きによって”配当基準日を事業年度末日以外に定めた場合はその日になるとしています。

 たとえば、配当請求権が1)配当等の支払確定日(配当決議日)又は2)配当支払日に確定する場合には当該日を配当基準日と取り扱っても良いとしています。

 しかし、適法な手続きにより定めた日でなければいけませんから、意図的、あるいは恣意的に定めた場合には上記の見解は適用されないことは言うまでもありません。

(問2)適用除外の特定外国子会社等から受ける配当等に係る適用関係

 特定外国子会社等から受ける配当等の額が経過措置の対象とされていることから、この経過措置の適用に当たっては、その特定外国子会社等の所得が合算課税の適用を受けるかどうかは問わないことになることを明確にしています。

 外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)の適用除外となり合算課税を受けない特定外国会社からの配当に関しても、合算課税される特定外国子会社と同じく経過措置の対象となります。

 合算課税されていないから経過措置の適用がなく、配当は益金不算入、配当免税になると勘違いしないよう注意喚起したものと思われます。

(問3)特定外国子会社等から受けるみなし配当に係る取扱い

 みなし配当が配当益金不算入制度の対象となることを明確にするとともに、特定外国子会社等から受けるみなし配当と当該特定外国子会社等の事業年度の関係について説明されています。

 つまり、みなし配当の額については、そのみなし配当の額が生じた日の属する内国法人の事業年度の所得金額に合算することとなる特定外国子会社等の課税対象留保金額、又は課税対象金額が生じた事業年度に係る配当等の額となるため、配当免税制度の対象となるかどうかはみなし配当がいつの事業年度から生じたものなのかについて留意することになります。

(問4)益金算入された配当等の額に係る外国源泉税の外国税額控除の適用

 平成21年改正前の法人税法の適用により益金の額に算入される配当等の額を課税標準として課される外国源泉税について、外国税額控除制度の適用対象から除外するものではないことを明確にしています。

 配当決議が3月決算日までに確定しその支払いがなされていない場合には決算日において未収配当を計上するケースが一般的ですが、その場合平成21年3月期で未収計上された配当金は配当免税の対象とはなりません。

 しかし、この益金算入された配当に係る外国源泉税は翌期である平成22年3月期にて確定し納税を行うことになります。その場合、当該外国源泉税が外国税額控除できないとなると問題になるためQ&Aにて明確に回答したものと思われます。

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2009年12月18日 (金)

【外国子会社配当益金不算入制度】国際税務研究会主催セミナー(その2)

 12月7日(月)大阪にて開催された国際税務研究会主催セミナーからの情報の続きです。

 下記については年内に国税庁ホームページから「Q&A」や「取扱通達」が出る予定ですが、セミナーから得られたわずかな情報をアップしておきます。

(1)益金算入5%相当額に係る共通経費、共通利子の配賦計算

 5%部分が益金に算入された場合に当該配当に係る共通経費や共通利子の配賦計算をどうするのかという疑問が生じますが、これに対して講師秋元氏は「5%相当額は国外所得の金額に含めないで計算する。また子会社からの配当を無視して計算した場合や子会社株式の貸借対照表価額を資産から除外して計算した場合なども合理的な計算と判断する」とコメントしていました。

(2)優先配当・損金算入配当について

 従来の間接外国税額控除制度では認められていなかった優先配当や損金算入配当ですが、配当益金不算入制度ではこれらの配当は対象外とはなっていません。
 優先配当は社債の利子的性格を有するものとして間接外国税額控除制度の対象になっていませんでしたが、今回の改正では配当益金不算入制度における配当の対象となっています。
 講師秋元氏いわく、「損金算入配当については、オーストラリア、ブラジルなどでは配当を損金として計上できるようであるが、この場合に配当に対する課税は両国で全く”タックスフリー”になってしまうので、現行制度では益金不算入対象としているが、法の趣旨を逸脱するような節税スキームが出てくるようであれば規制せざるをえない」とコメントしていました。
 優先配当はまだしも損金算入配当を益金不算入とすると、当該配当はオーストラリア等でも日本でもどちらでも課税されないことになり、グループ企業内における実効税率は低くなります。
 事業上その必要性がないのにオーストラリアやブラジルに海外現地子会社を設立し、その子会社から配当を得るような節税スキームを組んだとしてもすぐに法制度が改正されることなるかと思います。

(3)外国の租税法上構成員課税の適用を受ける法人からの配当

 米国LLCに係る税務上の取扱いについてですが、米国LLCは日本の租税法上”法人”とみなされます。
 したがって「米国LLCからの配当については、配当益金不算入、配当に係る外国源泉税損金不算入、税額控除不適用となる。また、米国LLCはタックスヘイブン対策税制上の特定外国子会社等とはみなされないため取扱いに注意すべき。なお、米国LLCは決算から4ヶ月と15日以内に米国で納税義務が生じ、その納税はパススルーされた親会社である内国法人で行われることになる。そのため親会社が配当を受け取る日よりも米国で納税する日が先行するようなケースがあるので、このような場合納税者不利にならないような取扱いを考えている」とのことでした。

 上記以外にも「特定課税対象金額を超える場合の配当」や「特定外国子会社等の判定の時期」について年内ないし年明けに新しい取扱通達やQ&Aが出るとのことです。配当益金不算入に対する課税の取扱いは複雑になってきていますので税務申告書作成は要注意です。

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2009年12月 9日 (水)

【外国子会社配当益金不算入制度】国際税務研究会主催セミナー(その1)

 12月7日(月)大阪にて開催された国際税務研究会主催セミナーに参加してきました。講師は国税庁調査査察部調査課主査秋元秀仁氏ですから、「外国子会社配当益金不算入制度」に関する税務当局の現状の動向を知るための情報収集としては良い機会だったと思います。

 講師秋元氏いわく、「年内には外国子会社配当益金不算入制度に関する経過措置などの取り扱いについてQ&Aが公表される、また2010年の年明けには取扱通達が出されるだろう。その詳細を私が今作成しています。」とのことでした。国税庁のホームページに公表される予定ですから年末から年明けにかけてチェックしておくべきだと思います。

 セミナーのなかで企業の経理担当者の方が税務処理に悩まれる点に関して講師から説明がありましたので、2回にわけてブログにアップしたいと思います。

【制度の趣旨について】

 外国子会社配当益金不算入制度は従来間接外国税額控除制度を適用して二重課税を排除していた制度を置き換えた制度であるため特別な優遇税制ではない点に留意すべきである

【特定外国子会社からの配当】
 タックスヘイブン対策税制で規定する特定外国子会社(TH税制適用法人及びTH税制適用除外法人を含む)からの配当の取扱いには十分注意すべきである

 特定外国子会社からの配当の基準日の記事でアップしましたが、「内国法人(親会社など)が特定外国子会社等から受け取った配当等に係る事業年度は、原則として、”その配当等に係る基準日の属する事業年度”に係るものとして取り扱われる」との件に関して講師は次のようにコメントしていました。

【配当等に係る事業年度について】

 日本の会社法では配当基準日を事業年度末日と決めているが、他の国ではその限りではない。税務当局は世界各国の税制に対応して我国の法律を定められるわけではないので、当該外国の制度下で配当基準日が異なる概念である場合には日本の制度と照らし合わせて考慮せざるをえない。
 「事業年度に係る配当」という意味合いが「配当基準日の属する事業年度」としてとらえることにおいて税務上弊害が生じないのであれば問題ないと考える。ただし、あくまでも法律は「事業年度に係る配当」と規定していることをご理解して頂きたい

 このコメントからわかるように法律を逸脱するような解釈の仕方があれば問題になるということだと思います。配当基準日の属する事業年度が「事業年度に係る配当」として解釈することで現行の制度の趣旨が保たれるのであれば問題ないということだと思います。

【みなし配当について】

 外国子会社配当益金不算入制度の対象となる剰余金の配当等の額は、法人税法第23条第1項第1号(受取配当等の益金不算入)に掲げる金額(法人税法第24条第1項の規定によりみなされる金額を含む。)とされている(法法23の2①)。
 みなし配当が生じた日の属する内国法人の事業年度が施行日以後に開始する事業年度であったとしても、当該みなし配当を合算する特定外国子会社等の事業年度が施行日前である場合には、旧法の適用になり配当益金算入/間接税額控除適用となるので留意すべき。

 みなし配当については”配当基準日”という概念がないため特定外国子会社のいつの事業年度に合算されるべきみなし配当なのかにより配当益金不算入するか否かの判定を行う必要があります。

【益金算入した配当に係る源泉税の直接外国税額控除、施行日をはさむ場合】

【例  示】
・内国法人:3月決算(H21/3月期)
・外国子会社(非軽課税国):12月決算(H20/12月期)
・配当決議日:H21.3.10
・外国子会社外国法人税納付日:H21.4.30
・配当支払日=源泉税支払日:H21.6.10

 上記のようなケースでは配当決議日(H21/3月期)に「未収配当金/受取配当金」という処理を行っているため、この外国子会社のH20/12月期の配当金は施行日前に開始した内国法人である親会社の事業年度に係る配当金に該当し、旧法の適用となり益金算入される。
 しかし、配当に係る源泉税は施行日以後に(H22/3月期)源泉徴収されるため、配当に係る源泉税の直接外国税額控除を適用できるのかどうかといった疑問が生じる。間接外国税額控除に関しては経過措置があり適用できる(改正法附則第44条第5項)のは明らかである。
 結論は直接外国税額控除を認める、つまり旧法の適用とする。配当益金算入されて直接外国税額控除を認めないのは課税上問題があるため。

 この問題は間接外国税額控除については経過措置があり適用できるのですが、直接外国税額控除についてどのように解釈するのか、条文上不明瞭になっています。
 ただ、講師いわく「配当を益金算入しておいて直接税額控除がとれないのは法的に不備があるため当局もその点は柔軟に対応する」とコメントしていました。

【適用対象となる外国子会社の範囲、持株要件】
持株割合については25%以上かつ継続保有6ヶ月以上となっていますが、租税条約において間接税額控除に係る持株要件が緩和されている場合は、その緩和された持株割合による(法令22の3第4項)(日米、日伯、日豪は10%、日仏は15%)

【例  示】
・外国子会社:米国子会社
・発行済株式数100株、うち保有株式数25株
・内国法人の保有株式割合:25%
・発行済株式数のうち議決権株式数40株、うち保有株式数2株
・内国法人の議決権株式保有割合:5%

 上記の場合、保有株式数が25%以上であるが、日米租税条約の二重課税排除条項により10%と規定されているため、議決権保有割合を満たさないことになる。
 この場合議決権保有株式割合を満たさないからといって適用対象外となるわけではない。保有割合条件を満たしているためこの米国子会社は適用対象となる。

 租税条約は国内法に常に優先するとの原則があるため上記判断も勘違いがおこる可能性が高い事例です。
 日米租税条約が10%以上と定めているため5%のケースでは適用除外になるのかと考えてしまいそうですが、保有株式割合で25%以上の条件を満たしていますので、この米国子会社は適用対象となります。(その2へ続く -to be continued -)


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2009年12月 1日 (火)

中国子会社の配当基準日

 「月刊国際税務2009年11月号P51」からの引用ですが、中国子会社の配当基準日はいつになるのかという問題です。日本の会社であれば決算日現在における株主に対して配当を行うというのが一般的ですが、中国の場合はどうなのか、この記事に記載がありましたので検討してみたいと思います。

 以前にも配当基準日については検討いたしましたが、今回は中国子会社に限定して考えてみます。

 配当基準日がいつなのかにより外国子会社配当益金不算入制度を適用できるかどうかが決まってきます。つまり、内国法人の2009年4月1日以後に開始する事業年度において、中国子会社から受け取る配当等の金額(2009年4月1日以後に開始した事業年度に係る剰余金の配当等の額)については、配当益金不算入制度を適用できます。

 また事業年度に係るという意味合いは「その配当等に係る基準日の属する事業年度」に係る配当等の金額であると解釈されています。これを別の解釈をすると配当可能利益が生じた事業年度に係る配当等の金額ともいえます。
 しかし、どの事業年度の利益に対する配当かを考えるのは剰余金が累積されていくことを考えると現実的な解釈ではありません。

 したがって、2009年1月1日開始事業年度あるいはそれ以前の年度に関する配当であったとしても、2009年4月1日以後に開始した事業年度において配当基準日を定めて配当を行うのであれば、益金不算入制度の適用は可能であるとのことです。

 たとえば次のような場合を想定してみるとわかりやすいかと思います。

1)内国法人の事業年度(3月末決算)
 平成21年4月1日~平成22年3月31日

2)中国子会社の事業年度
 暦年決算

3)配当基準日
 平成22年3月1日(董事会において決定)

4)配当基準日の属する中国子会社事業年度
 平成22年1月1日~平成22年12月31日


 3)配当基準日は親会社である内国法人の平成21年4月1日以後に開始する事業年度に含まれており、また中国子会社の事業年度も同様に平成21年4月1日以後に開始した事業年度4)に配当基準日を含んでいますので、配当益金不算入制度を適用できることになります。

 なお、「中国においては配当基準日が特段定義されていないものの、出資者総会(董事会)の日をもって配当基準日とするのが一般的かつ合法的である」と記事ではコメントされていますので、上記のような場合には配当益金不算入制度を適用することが可能です。
 なお、董事会議事録には配当基準日を明確に記載すべき、またみだりに基準日を変更してはいけない、と注意喚起しています。

 中国子会社をもつ日本親会社経理担当の方は、配当基準日により配当益金不算入制度が適用できるかどうかよく検討し、適用できない場合には益金算入かつ外国税額控除の適用をうける必要がありますので留意すべきでしょう。

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